ヨーロッパのラトビア共和国から生まれたAzeronのゲーミングデバイス「Azeron Keyzen」のレビューです。
左手デバイスを使ってみたいけど、いきなりCyborgのようなユニークな形状のデバイスを使うのはちょっと怖い、という方向けのAzeronエントリーモデルだそうです。
どっちを買おうか迷う人もいそうなので、実機でCyborgとの比較をしていきます。

Azeronキーパッドのパーツは3Dプリンタで作られており、組み立て工程は全て職人によるハンドメイドとなっています。製造過程はこんな感じです。
オーダー内容
オーダーは以下のリンクから行いました。
https://store.azeron.eu/azeron-keypads#keypad=keyzen
(2025/8/14: 追記)
今は日本版サイトでも注文できるようになりました。
Amazonでも購入可能になりました。
私がオーダーした構成は下記の通りです。
今左手で使っているCyborgもまだ現役ですが、そろそろ使い続けて4年目なので左手用にしました。
Azeron Keyzen
- Mechanical switches : Cherry MX Red
- Thumbstick type : Standard
- Color : Galaxy Purple
- Palmrest : Curved
Adjustable Magnetic Stand
- Using Keypad in : Left hand
- Color : Gray
選べるCherry MXスイッチ
Keyzenのキーボードスイッチは赤軸、茶軸、青軸の3つから選択することができます。
私はCherry MX Redを選択しましたが、スイッチの特徴をまとめておきます。
| スイッチタイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| Cherry MX Red (赤軸) |
✓ メリット
|
✗ デメリット
|
| Cherry MX Brown (茶軸) |
✓ メリット
|
✗ デメリット
|
| Cherry MX Blue (青軸) |
✓ メリット
|
✗ デメリット
|
キーボードの音はこんな感じです。
選べるスティックタイプとパームレスト
パームレストは形状をフラットタイプに変更でき、アナログスティックは先端がマグネット交換式のタイプにアップグレードすることができます。今まで標準タイプで不満は感じていないので今回はデフォルトのまま。
オプション
有料になりますがネームプレート変更、追加のキーキャップ、傾斜をつけられるスタンド、グリップテープをつけることができます。
以前右手用に買ったスタンドの質感が良かったのでスタンドだけ買うことにしました。
キーキャップは1UのDSAプロファイルらしいので、恐らく市販品が使えると思われます。
お値段
- 本体価格
Keyzen本体:185ユーロ
オリジナルのCyborg IIと比較すると、若干安い価格設定になっています。 - オプション
Magnetic Stand:30ユーロ - 配送費
FedEx International Connect Plus:31.34ユーロ(最安配送オプション) - 関税
関税:約3,000円
商品到着後にFedExから請求書が郵送されます
請求書に記載されたQRコードからWeb上でクレジットカード決済が可能です
合計費用
総額:216.34ユーロ + 関税
現在のレート(1ユーロ=172円)で換算すると約37,300円で、関税含めたら約40,000円くらいですね。
以前のCyborg II購入時は1ユーロ=160円だったため、もう少し安く購入できていました。円安の影響で、海外製品の購入コストが上がっているのが現状ですね...
開封の儀
いざ開封。中身はこんな感じ。

これが全ての付属品です。オプションのスタンドは本体と一緒の箱に入ってました。
今まで英語オンリーでしたが、付属のクイックガイドが日本語表記になっていて少し驚きです。日本の需要が高いということなのでしょう。

USBケーブルはCyborg IIについてきたケーブルと同じで長さ2mのUSB-A to Cです。

サイズ感はCyborgと対して変わりませんが、高さはKeyzenのほうが低めです。
だいたいの実測値を乗せておきます。
Keyzen
重さ:529g
高さ:8cm
横幅:21〜22cm
奥行き:23.5cm
セットアップ
公式が動画を出してくれているので、見ながら同じことをやればOKです。
Cyborgとの違いとして、親指タワーを固定するネジが1本になり、最初から本体についているので付属品のネジから探さなくてもよくなりました。
赤枠部分のネジを外して付け替えるだけでOKです。


他の指のタワーの位置は裏面の赤で囲ったところのネジを緩めて調整します。

Cyborgではタワーの傾きも調整できましたが、Keyzenでは傾き調整のためのパーツがないため、傾きは固定です。


親指のアナログスティックの位置調整はCyborgと変わらず、写真の赤で囲ったところのネジを緩めて調整できます。

アナログスティックの先端は引っ張ると外れます。
親指のキーボードスイッチ2つを親指で押そうとしたときに、スティックの高さがあると干渉して押しにくいので一番低いタイプにしました。


アナログスティックをつけるときに付属のリストリクターリングをつけると可動範囲を狭めることができます。あとで設定が必要ですが素早いキー入力が可能になるのでつけると便利。

キーキャップも引っ張ると外れます。キーキャップには種類が色々あって、DSAプロファイルという種類のキーキャップが使われています。

この表の通り、DSAプロファイルは指の当たる面が狭めで高さも控えめです。
XDAプロファイルなどでは指の当たる面が広く、キートップが高めなので他のキーと干渉する可能性があります。
引用: Comparison of Different Keycap Profile : SA, DSA, OEM, Cherry, and XDA – Goblintechkeys
XDAプロファイルのキーキャップを買ってみたので、後半で検証したいと思います。
ちなみに外したキーキャップの形状はこんな感じです。


親指以外のボタン配置ですが、人差し指と小指のタワーにキーが多く配置されています。使いやすさについては、後半で触れたいと思います。

続いて基盤チェック。Keyzenの裏面にある3箇所のネジを外すとパームレストを取り外して内部基盤にアクセスすることができます。

Cyborg IIは右手用だからかもしれませんが、Cyborg IIの基盤とは色が違いました。構造は同じっぽいです。


続いて横面、ネームプレートとLEDランプ部分です。オプションでネームプレートを変更すると、「Keyzen」の文字を好きな文字にできます。
LEDランプと横にあるボタンはプロファイルを選択するためのもので、押すとボタンに割り当てたキーを変えることができます。オンボードプロファイルは6つまで保存でき、LEDカラーはプロファイルごとに設定で色を変更可能です。

全体の比較としてCyborgと並べました。Cyborgと同じポジションに手を置くと、奥のキーに指が届かないので位置調整が必要です。
たぶんKeyzenのホームポジションは色が変わっている紫のキーキャップ部分になるかと思います。

マグネットスタンド
オプション品の傾斜をつけるためのマグネットスタンド。Azeronの刻印入り。


Cyborg IIを買ったときに付いてきたスタンドからアップデートされたのか角度を調節するためのT字のネジまわしを格納できるスペースが追加されていました。


ドライバのインストール
ここからドライバをインストールする必要があります。

現在はv1.5.6が公開されていてこのバージョンからKeyzenがサポートされています。私は既に最新ドライバをインストール済みなので繋ぐだけで認識しました。
同じPCにAzeronキーパッドを2つ接続した場合にはどちらをソフトウェアプロファイルで動かすのか選択肢が表示されます。

設定
基本的な設定はSETTINGSから行うことができますがよく使うところを紹介します。

Analog Settings
初回接続時にキャリブレーションの設定が表示されますが、あとから設定する場合はAnalog Settingsからできます。
以前は手動でAnalog Settingsから設定したりしたのですが、自動設定できるようになりました。
Begin Calibrationを押して2秒放置後に、円を描くようにスティックを動かすとちょうどいい感じの値に設定してくれます。
CHOOSE CALIBRATION METHODはリストリクターリングをつけてるなら「CENTER OFFSET」、つけてないなら「STANDARD」がいいと思います。

lower deadzoneは0%にしてしまうと僅かな動きでもスティックが反応してしまうのでlower deadzone は2〜13%程度が適正な値です。
upper deadzoneは%を増やすほど親指の動きを少なくすることができます。
Global Angle
組み立てるときにアナログスティックの傾きをつけた場合にはGlobal Angleを ON にしてAngleの数値を変更させ、Applyをクリックすると全てのプロファイルに対して動きを補正することができます。

Start with Windows
Windows Settings > Start with WindowsをOnにしておくとPC起動時にAzeronソフトウェアをいちいち起動しなくてよくなります。

使用感
押しやすさ
超押しやすいボタン 青
押しやすいボタン 緑
押しにくいボタン 赤
で着色しました。
青色の部分はゲーム中に何も見ないでも押せます。
緑色の部分は慣れたらたぶん押せます。
赤色の部分は押そうと思えば押せるのですが、意識しないと押せません。

上記は触った直後に感じた押しやすさですので、しばらく使っていけば慣れてくると思いますが、Cyborgと比べると奥側のキーが遠いので押しにくいと感じます。
ちなみにCyborg IIではどうだったかというとこんな感じです。

Cyborg IIのレビューはこちらで触れています。
色々キーキャップをつけてみる
せっかくなのでキーキャップを交換して遊ぼうと思い、市販のキーキャップをたくさん用意しました。デフォルトのキーキャップはDSAプロファイルなので、干渉しちゃう気もしますが検証ということで。対戦よろしくお願いします。

この歯車のキーキャップだけはSA R1プロファイルですが、かなりキレイです。
他のキーキャップよりも背が高いので、親指キーキャップと入替しようと思います。
他のキーはXDAプロファイルです。


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キーキャップを外す際には、専用の引き抜き工具があると便利です。特にキーが密集している人差し指と小指のタワーのキーキャップを外すときに重宝します。


思ったよりギチギチでしたがなんとか入りました。見えないところはちょっとヤスリで削ってますが、これで親指キーが押しやすくなります。

XDAキーキャップではキーの間隔がかなりキツめでした。全部XDAにするのは無理そうな感じです。

一番上は特に干渉しないので、XDAキーキャップにしたところキーが高くなったことで指が届きやすくなりました。一番上をXDAにするのはけっこうアリ。

まとめ
Azeron Keyzenは、Cherry MXスイッチを搭載することでキーボードユーザーにも親しみやすい製品になりました。
Cyborg IIと比べると、全体的なキーへのアクセスはしにくくなっていますが、マウススイッチと比べてキーボードスイッチがとても押しやすく、FPSなどの使用するキーが少ないゲームなどでは気持ちよい打鍵感で楽しむことができそうです。
特にキーキャップの交換により、3Dプリンタ無しでも見た目を自分好みにカスタマイズできるのは大きな魅力です。
キーボードからステップアップしたいゲーマーや、カスタマイズを楽しみたい人におすすめ。
おまけ
Q&A
Q. Cyborg IIとどっちがおすすめ?
A. 全てのボタンを使うならCyborg II、打鍵感重視ならKeyzenです。
※キーボードからの乗り換えならまずはKeyzenがいいかも。
Q. 初期不良どうしたらいい?
A. 公式ホームページから買ったのであればFAQに連絡先が書いてます。
Q. 左手と右手両方で使いたいんですが
A. 使えますが、片方のプロファイルはオンボードプロファイルになります。
Q. 質問したいんだけど
A. 公式Discordにユーザーがわんさかいますので聞いてみてください。
トラブルシューティング
さっそく文鎮化したので直しました。
以上
圧倒的成長。



